犬田布岬~犬の門蓋 [九州編その2]
2010年4月16日 金曜日 160日目
7時半起床。まだ空は曇っているが、雲の位置が高いのと空がやや明るいのとで出発確定。情報源がないので、原始人並の天候判断である。
出発準備していると、観光バスがやってきて、乗客は大和の慰霊塔を観光しにいった。運転手は宮地おさむに似ている。おさむが色々話しかける。
おさむが突然オカリナを取り出して、朗々と吹き出した。うまいものである。こうやってバスで留守番している間、暇なもんだから相当練習したようである。
しかしこういうのはいかがなものか。いきなり「ね、ね、うまいでしょ」、てな感じで押し付けっぽく聞かされると、ちょっと興ざめすることもある。
おさむをほったらかしにして、ヨッシーももう一回大和慰霊碑のほうに見学に行く。
慰霊碑に用があるのではなく、その先の絶壁下に打ち付ける波の写真が撮りたかったのだ。何回もシャッターを押した中でのベストスリーはこれだ!ワンツースリー。
昨日のほうが波が高くて迫力があったが、カメラを持って行ってなかったので撮らなかったのが悔やまれる。
犬田布という土地名のわりに、犬より猫のほうが多かった。このままではいつの日か、猫田布岬になる日も近い!
ねっ、君達。
10時に出発。海岸沿いの道を行き、観光地図にある、展望台なるところを目指す。畑のおじさんとかに道をたずねながら到着。
犬田布岬のほうを見て写真を一枚。大和の慰霊塔が小さく見える。
絶壁がずっと続いているすごい風景である。あの崖の際から下を見たらすごいだろうな、とか想像してひやりとしたので、みんなも想像してひやりとしてほしい。
テレビのミステリーもののエンディングシーンに必ず出てくる崖に、ここを推薦しますっ。ぜひ撮影に使ってくださいっ。
展望台屋上に島の地図があったので、いい機会だから地理案内をしておく。
まず、フェリーで上陸した亀徳港はこの白いヘルメットを置いたところ。
それから、犬田布岬はこの位置。
時計周りに島を回っている。
また道に迷い気味に、県道83にもどる。ところで徳之島には国道が無い。1ミリも無い。あるのは県道だけである。
糸木名というところで無人販売所にであう。ちょうどおばさんが商品を補充しているところでもあり、気になったので寄ってみた。なんせ冷蔵ケースまで備えた無人販売なのである。しかもこのおばさんは得意の料理を駆使して、自家製の漬物やごはんのお供になりそうなものを出している。
もともと神戸に長年住んでいたが、やっぱり田舎がいいと思って帰ってきたそうである。だから無人販売もちょっと垢抜けている。
サーターアンダギーとスルメのキムチ和えと抹茶もちを買う。1000円札でおつりを700円くれた。無人だけど今日は有人販売だったのでおつりが出た。
12時半、犬の門蓋(いんのじょうふた)というところにつく。ヘルメットのおいてある位置である。
徳之島の人は牛も好きだが、犬のつく地名が好きだなあ。
テーブルでお昼を食べていた3人組のおじおばさんがたが、さっき目の前にくじらが来た、という。すごい近かったというので、ヨッシーもしばらく海面を見つめていたが、なかなか出てこない。さきに門蓋なるところを見に行く。
ここはすごい。こんなふうに穴が開くまでどんだけ時間がかかったろうか。
とにかく写真を撮りまくる。
そしてまたもとの場所にもどってくじらを見張る。
双眼鏡も駆使する。
よーし、もう今夜はここでキャンプだ。まずは近くの平土野(へとの)に行って、買い出しと奄美行きフェリーのチェック。亀徳からも船はでているが、ここからも乗れる。時間と料金をチェックしておく。
門蓋にもどって、くじら観察用テント設置。
見張りながらごはんも作る。焼酎ものむ。
残念。この日はもうくじらは現れなかった。
走行 28キロ 出費 1100円 (弁当、発泡酒、無人販売)
犬田布岬 雨宿りの1日 [九州編その2]
2010年4月15日 木曜日 159日目
未明に雨と風、強くなる。屋根下なので雨は直接かからないが、それでも風で横殴りになった雨でテントの側面が濡れてくる。3時と5時に一回ずつテントの移動を行った。
7時半起床。雨。予報通りなら今日一日雨である。出発延期。雨宿りの1日にする。
昨日のスパム入りスープにラーメンを入れて食べていたら、作業服姿の兄さんが車でトイレを借りにきた。旅の話しや徳之島のこと、兄さんの仕事のことなど話していたら、今度の月火2日間、しょうがの植え付けバイトをしてくれないかと頼まれる。手が足りないなら手伝いましょうと返事して、電話番号を交換した。シマダさんと言い、島出身だが広島で長年仕事して、2年前に帰ってきたそうである。
シマダさんが去った後、することも無いしとても寒いのでテントに入って2度寝する。
起きたら11時半。ボーッとしてたら道子ママがコーヒー飲みなさいと、煎れたてをテントまで持ってきてくれた。ありがたい。
今日はご主人の吉玉さんも喫茶スマイルに出勤している。雨風ではコーヒー園も畑仕事もできないだろう。
昼ご飯に最後のひとつになった、沖縄そばインスタントラーメンを食べてしまう。沖縄ではこのそばにずいぶん助けられたから、食べてしまうのが勿体ない気がする。思えばこの最後の1個は西原町のターナーくん母からのプレゼントであった。ゴチになりやした!
昼から自転車の整備。チェーンの調整と注油。タイヤの空気圧点検。各部ネジ等のゆるみ確認。
それから、もうだいぶ前から破れていたフロントバッグのインナーポケットを縫う。
前からほったらかしになっていた修理調整が一度に済んで良かった。雨で良かった。
高校時代の部活で、「休むのも練習のうち」、という言葉が流行ったことがある。休んで体を養うのも、次の練習・試合のために必要だ、という意味だが、当時はさぼりたい一心でこれを連発して言い訳にしていたところがある。
しかし旅の休みは必ず必要である。充分休んでいないと、事故や怪我の原因になる。
3時、雨が小止みになったので、近くの商店まで買い出しに走る。店番の奥さんが美人なので、行かねばなるまいて。走っていると、スピードメーターが動かないことに気がつく。これが無いと積算距離が出せなくなる。
買い出しからかえったらすぐに修理。
あちこちさわって原因を探っていたら、断線仕掛かっているところを発見。
一旦切って、つなぎ直すことにする。
2本ある片方をつなぐと、動きはじめた。でももう一本もそのうち切れそうなので、こちらもつなぎかえ。
ひねって留めた電線同士をハンダで固定したいが、ハンダごてなど無い。そこでやってみた、ライターで直あぶり方式。こんなことやったことないが、溶接にも電気式とガス式があるのだから、ハンダもできるかも。
無理!ライターではできまへん!ハンダは溶けるが、うまく狙ったとこにつけられない。溶けたのが地面にポタリと落ちるだけ。
そこでこんどは、プラスチック棒を溶かして、接続した電線部分を覆う。これはうまくいった。
そしてメーターは無事に動きはじめた。工作の時間終了。
壊れてみて距離をチェックしてみたら、旅が始まってからの積算走行距離が、3000キロを越えた。3000キロ!すごーいい、と思わないで欲しい。6ヶ月でだから、月当たり500キロ。一日当たり、18~19キロ程度しか走っていない。下手したら通学距離?並である。
だから皆さんも、体力とかなくても自転車旅できますからね~。たとえば高校通学3年間で、往復15キロ走ったとして、夏休みや春休みなどを除いても9000キロ近く走るのである。
雨はじゃんじゃか降っている。いつもは7時までやっているお店を5時過ぎに閉めて、吉玉夫婦は帰って行った。
夜ご飯はカレーライス。久米島小柳さんの紅芋と、ソーセージ入り。いまのカレー粉は、一食分ずつ個別包装になっているので便利だ。お一人様暮らしの多い時代故か。
ちょっとシャバシャバのスープカレーみたいになったが、味はちゃんと辛い。
この場所はラジオも携帯も入らないので、夜はすることが無い。寝るしかない。
7時就寝。子供もまだ起きている時間じゃ。しかしえらいもんで、横になると眠ってしまった。
走行 2キロ 出費 582円 (ソーセージ、卵焼き、菓子パン、発泡酒)